老人ホームに入居するとき、事前に考えておくべき事柄は？

老人ホームへの入居は大きなイベントであり、身の回りの環境も大きく変化します。事前に何を準備すべきか、何を考えておくべきか不安に感じる方もいることでしょう。そこで今回は、老人ホームに入居する際に考えておくべき事柄について解説していきます。事前準備を済ませて安心した状態で、老人ホームでの新生活を開始しましょう。

老人ホームに求める条件

入居する施設がまだ決まっていない場合には、自身が施設に求める条件を考えておくことが重要です。費用面、サービス面、立地面などを考慮したうえで、自身の要望に適した施設を探しましょう。また、候補が絞り切れない場合のことを考えて、どの項目を優先するか、どの項目なら妥協できるか、といった優先順位も確認しておくとよいでしょう。

資金計画

老人ホームの利用における資金計画については、入居の前に考えておく必要があるでしょう。老人ホームでは、入居時に発生する一時金と月々発生する月額利用料がかかります。

具体的な支払い金額は施設ごとに異なるため、施設を決める段階で月々の支払いを含めたシミュレーションを行う必要があるでしょう。

また、万が一費用を払えなくなったときのことを考えて、身元引受人と対応方法の確認を行うことも大切です。支払いが滞ってもすぐに退居となるわけではありませんが、数か月滞納状態が続くと退居となってしまいます。このようなリスクを避けるためにも、事前準備をしっかりと行いましょう。

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自宅の売却について

これまで住んでいた自宅が空き家になってしまう場合には、建物の処遇も考えることになります。今後の利用方法が決まっていない場合には、売却を検討するのもよいでしょう。住まいを手放すことに不安を感じるのであれば、自宅の所有権を譲渡したうえで賃貸契約を行うリースバックや自宅を担保としてお金を借りることができるリバースモーゲージなどの利用も検討しましょう。自宅を売却することには、以下のようなメリットがあります。

老人ホームの費用に充てられる

誰も住まなくなった自宅を売却すれば、売却して得たお金を老人ホームの費用に充てられます。老人ホームを利用する年齢だと収入源は年金などに限られる場合も多いため、資産に余裕を持たせることは安心感を生んでくれるはずです。また、自宅を売却する前提で入居する施設を探せば、入居する施設の選択の幅も広がるはずです。

税金の支払いを抑えられる

自宅を売却することで、税金の支払いを抑える効果も見込めます。老人ホームに入居して自宅が空き家になると、所得税や固定資産税の優遇税制の恩恵を受けられない場合があるため、高額な税金が発生する可能性があります。誰も住んでいない邸宅にも税金はかかってしまうため、利用する予定がない状態で放置することは避けたいところです。

ペットについて

自宅でペットと生活している場合には、老人ホームの入居に際してペットの扱いも考える必要があります。家族に預けるケースも多いかと思われますが、もしペットと入居したい場合にはペットと暮らせる老人ホームを探す必要があります。ペットが過ごせる環境の準備や他の入居者への配慮が難しいことから、ペットと入居できる施設はかなり限られています。ペットとの入居を希望する場合には、入居前に施設の対応やルールを確認しておきましょう。

また、入居可能なペットの種類や大きさなどの基本事項に加えて、日常的にペットと行動を共にできるのか、自分が亡くなった時にどのような対応をとってもらえるのかといった事項も忘れずに確認しましょう。

相続について

遺産相続に関しても、老人ホーム入居前に確認を行うことをおすすめします。老人ホームに入居すると家族と会う時間は限られるうえ、込み入った話をすることも難しくなるでしょう。また、高齢者にとって認知症や体調の悪化といった身体的リスクは常につきまとうものです。

認知症などで判断能力が欠如しているとみなされると、契約や法律行為が無効となってしまう場合があります。入居前の元気な状態で、家族でゆっくり話ができる時間をとって相続の話を取りまとめておくのがよいでしょう。

また、自身の身の回りを整理する生前整理を行っておくのもよいでしょう。以下の2点は特に、老人ホーム入居前に着手することをおすすめします。

財産目録を記しておく

財産目録を記して自身の財産を一通り洗い出しておくことは、相続トラブルを防ぐことにつながります。財産目録の内容は相続の際の重要な資料となるため、抜け漏れの無いように記載したいところです。老人ホームに入居した後に財産をまとめる作業を行うのはなかなか骨が折れるうえに、もの忘れが激しくなったり認知症になってしまったりした場合には正しく記載できる保証はありません。家族の協力のもと記載ができるうちに、財産目録をまとめておくとよいでしょう。

遺言書を記しておく

老人ホームに入居する際には、遺言書を残しておくのもよいでしょう。遺言状というと寿命を迎える間際に書くイメージがあるかもしれません。しかし前述の通り、本人の判断能力がないとみなされてしまった場合には遺言書の内容が認められなくなってしまう場合があるため、遺言書も元気なうちに書いておくことが大切です。また、家族へのメッセージや端末のパスワードなど、遺言書の内容以外はエンディングノートを作成するのもおすすめです。

老人ホームの入居前には事前準備をしっかりと！

今回は老人ホームに入居する際に考えておくべき事柄について解説しました。老人ホームへの入居は大きな環境の変化であるため、事前に考えておくべき事柄が数多く存在します。入居後では対応が難しくなる問題も存在するため、入居前に解決して不安を取り除いておくことが大切です。家族とともに相談する時間を持って準備を行い、安心できる状態で入居できるよう努めましょう。