老人ホームへの入居を考えているものの、自分が必要とする医療体制が整っているのかわからず不安を感じている方もいるでしょう。医療的なサポートが必要になる場合には、適切な対応を行ってもらえる環境がある施設を選択する必要があります。そこで今回は、医療が必要な状態で老人ホームに入居する場合にチェックすべきポイントを解説していきます。おすすめの施設もご紹介するので、入居先を選択する際の参考にしてみてください。
医療が必要な方の老人ホーム選びでチェックすべきポイント
入居する際に何からチェックすればよいかわからないこともあるかと思います。ここでは、医療が必要な方が老人ホームを選択する際に特にチェックすべきポイントを解説していきます。
医療にかかわる職員の体制
入居する施設の選択に際しては、医療にかかわる職員の勤務体制を確認しておくことが大切です。医療行為を行えるのは主に医師や看護職員で、注射や人工呼吸器の使用といった本格的な医療行為が必要になる場合にはこれらの職員が在籍しているか確認しておきましょう。介護職員の場合は行える行為が限定され、医療ケアが中心となります。体温・血圧の測定、薬を服用する際の介助など、日常的な行為のサポートが中心です。人員配置の基準は施設の種類によってきめられていて、医師や看護師の配置人数が定められています。
薬に関するサポート体制
定期的に服薬する薬がある場合には、施設の服薬に関するサポート体制も確認しておくとよいでしょう。自身で薬を飲むのが難しい場合にどんな支援をしてくれるか、入居者ごとに服薬スケジュール等を作成して薬を飲み忘れないような工夫を施してくれているか、といった点をチェックするとよいでしょう。
医療機関との提携体制
施設が病院などの医療機関とどのように提携しているかも確認しておくとよいでしょう。緊密な提携を行っている場合、訪問診療や健康相談といった医療的なサポートが受けられます。また、容体が悪化した際に利用する医療機関の受け入れ態勢が整っていれば、手当てや入院等の対応をスムーズに行えるため安心感につながるでしょう。
入院する場合の対応
医療が必要な方は入院を余儀なくされることもあるため、もし入院することになった場合の対応を確認しておくことも大切です。入院中は老人ホームを離れて生活することになりますが、入院中にどの程度生活支援を行ってくれるのか、入院期間はどれくらい認められるのかといった内容を確認しておきましょう。入院中に発生する費用についても事前に確認しておくのがよいでしょう。
看取り対応の有無
施設の看取り対応も事前に確認しておくのがよいでしょう。看取り対応とは、病院での延命治療などを行わず、入居者の苦痛をできるだけ緩和して自然に最期を迎えられるように対応することを指します。看取り対応を行うには専門的なサポートが必要になるため、医療スタッフが属している有料老人ホームなどを中心に確認してみるのがよいでしょう。また、家族がどれくらい訪問、サポートできるかといった点も入居者の生活の充実度につながるため、チェックしておきたいポイントです。
必要な医療行為の有無を直接確認する
入居前に自身の病状や必要な対応を施設に共有し、それに対応できる医療体制が整っているか直接確認することも大切です。施設の種類によって人員配置や対応できる医療行為の幅に傾向はあるものの、最終的にどのように対応できるかは施設次第になります。そのため、ここまで紹介したポイントを中心に、施設のスタッフに直接聞いておきましょう。
医療が必要な方におすすめの施設
ここからは医療を必要とする方におすすめの施設をご紹介します。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は要介護の方が医療的なケアを受けつつ、自立した状態で家庭への復帰を目的とした施設です。医療法人や地方公共団体などの公的団体が運営しており、「老健」の略称で呼ばれることもあります。医師、看護師を配置することが義務付けられており、充実した医療体制が魅力の施設となっています。公的施設であるため民間施設よりも少ない費用で利用できるのも魅力の一つといえるでしょう。ただし、家庭への復帰を目指す施設であるため、所属できる期間は3ヶ月程度とされていて最大でも1年が限度となっています。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは「特養」とも呼ばれ、要介護度の高い方が入所する公的施設です。要介護の方が介護と生活援助を受けながら生活することを目的とした施設で、入居条件は原則65歳以上かつ要介護3以上と認められている方になります。介護老人保健施設と同様に医師、看護師の配置が義務付けられていますが、医師に関しては非常勤が認められている点に注意が必要です。特別養護老人ホームは看取り対応に力を入れている施設も多い点も魅力といえるでしょう。医療体制の充実度は施設によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは要介護度の高い方を対象とした、民間運営の施設です。公的施設よりも費用は高くなる傾向にありますが、その分レクリエーションなどの娯楽も充実しており、入居できる施設の選択の幅が広い点も魅力といえます。看護師の配置が義務付けられていますが、医師の配置義務はありません。そのため医療体制は施設によって異なり、民間運営であるため施設ごとに特色が出やすい施設となっています。また、最も高い段階の要介護度5の方の受け入れも行っているため、入居中に容体が悪化して要介護度が上がってしまった場合にも継続して施設に在籍できる安心感があります。
医療体制の整った施設で安心・安全の生活を
今回は医療が必要な状態で老人ホームに入居する場合にチェックすべきポイントを解説しました。施設の医療体制は安心・安全な生活を送るために必須となる事項です。現在必要な医療はもちろん、今後必要になる可能性がある医療に関しても確認しておくとより安心して施設での生活が送れるはずです。必要な医療体制を完備した施設を探して、自身も家族も安心できる施設に入居しましょう。